秘光奇地~A.Mitsuki's Life~

蒙昧なる駄文の数々をここに掲載しています。

幸せと不幸は同じ直線状にはない

 <幸せと不幸は同じ直線状にはない>

2023 / written by A.Mitsuki 

幸せと不幸は同じ直線上にあるものと考えられがちである。イメージとしてはシーソーのようなもの。幸せ側が落ちれば、不幸側が上がり、不幸側が落ちれば、幸福側が上がる。つまり幸せである場合は不幸ではないし、不幸である場合は幸せではない。

両者の共存は矛盾することになる。

 

が、そんなことはない。

幸せと不幸は全く別物であって、同直線上にはない概念だと思う。

幸せを感じつつも不幸であることも、不幸を感じつつも幸せであることも矛盾なく成立する。だから、幸せそうにしていても突然、自殺する人だっているのではないか。

当人からすればお金もあり仕事も充実して恋人もいるという幸福環境にありつつも、なんとなく原因不明の漠然とした不安感があり、ふいにそちらの気持ちに流されて自殺してしまう、なんてこともあり得るのだ。

しかし世間一般では自殺は極限の精神状態にまで陥ったからこそ起こること、という認識がある。それほどまでに追い詰められていた何か明確な理由があるはずだ、と。

しかし全員が全員、本当に落ちに落ちた極限の状態だったかどうかはわからない。もしも極限状態にまで陥った上での行動であったらば、そのうちのいくつかは周囲の人間が気づきケアできることもあったろう。しかしたいていの場合、周りは当人の変化に全く気づけなかったりする。だから、事後に「なぜ、どうして」と疑問が浮かぶばかりである。

 

精神的な病気というものは、一般的に考えられる極限の環境下にあるか否かだけで測れるものではない。一見満たされているように見えても、いかに幸せそうに見えても、同時に大きな不幸を抱え込んでいるかもしれないのである。

精神的ダメージを受ける物事があって絶望の淵に立たされた、なんて極限状態だけが精神の病の原因ではないのだなと感じる。

ただただ本人にもよくわからない漠然とした不安を感じる。それは我慢しようと思えばできそうと思える程度なのに、なぜかものすごく苦しく辛い。果ては自死にまで陥ってしまう人もいるのだろう、なんて思える。

軽く見えるかどうかではなく、軽く考えないことだな、との教訓を得た今日この頃である。